「中國新聞」のオピニオン欄で『満州開拓団の真実』が取り上げられました。

 8月31日(木)付「中國新聞」のオピニオン欄で、小林弘忠著『満州開拓団の真実』が、論説主幹・佐田尾信作氏により取り上げられました。

「(前略)

 敗戦を知っていたら集団自決はなかったかもしれない、秘密でも何でもないことが伝わらなかったのはなぜか──。そう問いただし、首相安倍晋三も「きちんと終戦を知らせなかったのは問題だ」と素直に認めている。

 こうしたやりとりを、この夏出版された元毎日新聞記者小林忠弘の「満州開拓団の真実」(七つ森書館)で知った。名簿に基づく小林の調査によると、高社郷では団員716人のうち576人が異郷で果てた。自決と明記されている人は272人に上り、うち妻は132人いる。5歳以下の死者は116人とある。親や大人と、死を共にしたのではないか。

 惨事の背景の一つとして、45年8月9日の旧ソ連軍侵攻に関する情報が秘匿され、関東軍(旧満州の日本陸軍)から開拓団に知らされなかったことがある。事態を知った時には、もはや関東軍に見捨てられていた。開拓団は「人間の盾」にされたといえよう。

 もう一つ、開拓団の男子が根こそぎ関東軍に現地召集されていたこともある。残された丸腰の女性や子ども、老人たちがソ連軍や暴徒に包囲されたまま、前途を悲観したことは想像に難くない。小林の言葉を借りれば「死の結束」を固めるしかなかったのだ。

(中略)

 そもそも、敗色が濃厚になってもなお、開拓団を送り込むようなことがあってはならなかった。「王道楽土」「五族協和」という大義名分が色あせているにもかかわらず、事実を伏せて庶民を駆り立てた国策である。それに追随した報道にも責任はあろう。

 むろん、こうした悲劇が繰り返されるとは思わない。今の日本は軍事力で版図を広げる国でもない。しかし、国家が重大なことを秘密にすれば、そのつけは必ず国民に回ってくるということを、この苦い歴史は示している。

 (後略)」


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