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「七つ森は、どこにあるのですか」
「七つ森書館は、童話の出版社ですか」
 とよく聞かれます。
 日本地図を調べると、宮城県と福島県に「七ツ森」の名が見えます。以前、文京区
本郷に移ってきたばかりのころ、「仙台の方がやっている会社ですか?」と訪ねてき
た女性がいました。「私の故郷の近くに七つ森という山があるんですよ」と。また、
『七つ森』という秋田県の民話の絵本も出版されていました。ですから、このように
聞かれるのは、もっともなことです。
 宮沢賢治は、七つ森を童話や詩に登場させていますが、「橋場線七つ森下を過ぐ」
という未定稿詩があります。
その冒頭を引きますと、

鶯宿はこの月の夜を雪ふるらし

黒雲そこにてたヾ乱れたり

七つ森の雪にうづみしひとつなり

けむりの下を逼りくるもの

月の下なる七つ森のそのひとつなり

……


 と、謳いつがれていきます。
 短い詩ですが、読みすすむにつれて天地自然に抱かれた凛とした気持ちになってく
る詩です。もとより、宮沢賢治が求めた世界にちょっとでも近づきたいと願うもので
すが、凝縮した一編の詩から社名を得たことは、代え難いことだと思います。
 実際の七つ森は、小岩井農場の南にあって、ポコリポコリと小さな七つの山が連な
っているそうです。