原発に子孫の命は売れない


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「原発に子孫の命は売れない」

 週刊誌記者として全国の原発立地や予定地を取材してきた著者が、福島県浪江町棚塩地区で23年間にわたる住民運動によって原発建設を断念に追いこんだ戦いの軌跡を追う。住民の多くが農業を営むこの地に、突然原発の建設計画がまいこんだのが1968年。他の多くの地がそうであるように反対同盟が結成され、推進派による札束と切り崩し工作が展開する。一方で反対同盟のリーダーを務め、50代からの人生のすべてを賭けて推進側の圧力をはね返してきたのが舛倉隆さんであった。
 著者は<どこにでもいそうな“朴訥な農家のおじさん”そのもの>の舛倉さんの人柄に触れることで幾多の危機に見舞われながらも団結を崩すことなく原発立地を阻止しぬいた強さの本質を描きだす。巻末には、専門家の高木仁三郎と舛倉さんとの対談も掲載され、23年かけて勝利をかちとった戦いの流儀がひしひしと伝わってくる。

『出版ニュース』1991年12月下旬号より

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反対運動の歴史が本に浪江・小高原発農民らの姿を描く

 東北電力が計画している浪江・小高原発に23年間建設反対を訴え続けている、双葉郡浪江町の棚塩原発反対同盟(舛倉隆委員長)の歴史をまとめた本が「原子力の日」の26日、東京の出版社から刊行された。伝来の土地と農業を懸命に守ろうとする農夫らの姿が描かれている。
 本のタイトルは「原発に子孫の命は売れない」(七つ森書館刊)。反対同盟の結成20周年を機に全国の原発立地を取材している恩田勝亘氏が約3年かけてまとめた。出版社は「経済、開発優先の時代に抗する具体例を示したかった」としている。
 同書は、木村守江元知事が1968年、浪江・小高原発の計画を明らかにした年頭のあいさつから始まる。突然の発表に驚いた棚塩地区住民は反対同盟を結成。農作業の合間に原発について学習を続けながら、@土地を売らないA県、町、東北電力と話し合わないB既存の政治勢力と共闘しないを原則とする同盟の姿がつづられている。
 同原発について今年度の電力施設計画は、96年度着工、運転開始は2001年以降としている。しかし、舛倉氏を中心とした同盟の活動で原発の計画は、74年度から毎年繰り延べられており、具体的なめどが立っていないのが現状だ。
 「信用していた人が次々に推進派に転じるなど、苦しい日々だった」と23年間を振り返る舛倉さんは、この本について「次の世代に伝えたいすべてが記録されている」と話している。

『朝日新聞』福島県版1991年10月27日より

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