市民科学ブックス 3
知ればなっとく
脱原発

反原発運動全国連絡会 編
定価:1600円+税

四六判 248ページ
2002年刊
ISBN 4-8228-0251-5


   


氈@大事故から見える危険な原発

 
チェルノブイリ原発事故
 ―─世界初の暴走事故に衝撃が走った
久米三四郎
明らかになったチェルノブイリ事故の被害 振津かつみ
ウクライナに見る事故の後遺症は? 河田昌東
スリーマイル島原発―炉心溶融事故が教えるもの 久米三四郎
経済的苦況がまねいたスリーマイル島原発事故 久米三四郎
美浜二号炉事故―蒸気発生器の細管がギロチン破断 久米三四郎
福島第二原発三号炉事故―再循環ポンプが破損した 河田昌東
敦賀原発で廃液が大量に流出した 高木仁三郎
ラ・アーグ再処理工場で電源が喪失する事故 高木仁三郎
10 高速増殖炉もんじゅでナトリウム火災 小木曽美和子
11 もんじゅ事故についてわかったこと 小林圭二
12 東海再処理工場アスファルト固化施設の火災爆発事故 河田昌東
13 東海村の「臨界事故」はおごる原子力への警告 久米三四郎
14 なぜ、安全は確保されないか―JCO事故と労働現場 小林圭二

 やっぱり原発は危ない
  
15 事故対策が新しい事故を生む
   ──あとを絶たない蒸気発生器細管の損傷
小木曽美和子
16 沸騰水型原発で暴走事故が起こる危険性は? 小村浩夫
17 長持ち燃料はやっぱり危険 久米三四郎
18 APWRには問題がある 小木曽美和子
19 ABWRにも問題がある 武本和幸
20 こっそり始まった過酷事故対策
 ──安全審査もなしに始まった耐圧ベント設備とは
小村浩夫
21 短くなる定期検査 阪本 清
22 原発を地震が襲ったら 武本和幸
23 地震が引き起こす出力暴走の危険性 篠原弘典
24 原発の延命策―危険なカケに電力会社も及び腰 久米三四郎
25 原発のお釜があぶない 池野正治

。 放射線に安全はないんだ
   
26 新しい放射線防護のシステム 山本定明
27 原爆線量の見直しで発ガンリスクは? 今中哲二
28 放射線のホルミシス効果を疑う 南波 浩
29 原発での作業員の被曝と労災 伊東良徳
30 シュラウド交換と労働者の被曝 上澤千尋
31 放射性物質を規制する法律 西尾 漠
32 放射性物質を利用した商品を追放しよう 渡辺美紀子

「 核燃料サイクルとは、プルトニウムとは
   
33 使用済み燃料中間貯蔵施設がかかえる問題 小出裕章
34 高速増殖炉は技術過信の悪夢の産物だ 高木仁三郎
35 いま、世界の高速増殖炉は? 福武公子
36 軽水炉でプルトニウムを燃やせるか? 河田昌東
37 プルサーマルには危険がいっぱい 小林圭二
38 MOX燃料は健全か 河田昌東
39 いよいよ、廃炉が現実になってきた 末田一秀
40 金属リサイクルは放射能汚染をともなう 小村浩夫・
小林圭二
41 誰もが認めた「ウラルの核惨事」 天笠啓祐
42 廃棄物の「消滅処理」は核拡散につながる 小林圭二
43 原発のゴミをどう考えるか 西尾 漠

」 環境にやさしいエネルギーの未来
   
44 原発が大停電を呼び寄せる 小山 登
45 揚水発電を考え直してみては 中川 徹
46 原発は地球を救わない 西尾 漠
47 「電力の自由化」のもつ可能性 福本敬夫
48 「電力自由化」と原発 西尾 漠
49 消費者の選択が社会を変える 富山洋子

、 原発が消える日がやってくる
   
50 改訂された原子力防災対策
      ――安全委専門部会報告書案の問題点
末田一秀
51 JCO臨界事故を検証する
      ――「防災新法」でよいのか
末田一秀
52 放射性物質が身の回りを走る 佐伯昌和
53 原発と地域経済―福島からの報告 石丸小四郎
54 原発のコストは安いか 西尾 漠
55 ドイツは原発全廃へ向かう―政府と電力会社が合意 梶村太一郎
56 ドイツの脱原発がフランスにも影響した 真下俊樹
57 原子力推進のゆくえは?
      ――米エネルギー政策報告書を読む
田窪雅文


まえがきより

 本書は、『はんげんぱつ新聞』に毎号掲載されている「反原発講座」をまとめたものです。

 原発や核施設建設の話が持ち上がると、日常生活にほとんど無縁な言葉が、情報が、否応なしに入ってきます。そして反対・賛成関係なしにその言葉・情報への対応が求められます。都会や原発立地地域外の人々が、原発や核施設に関心を持つと、同じようなことが待ち受けています。
 今では想像できないくらい「原発」に関する本の少なかった1978年に、全国各地の住民や労働組合、科学者が「各地の経験を交流し、反原発運動の連帯を高めよう」と反原発運動全国連絡会をつくり、『はんげんぱつ新聞』の発行は始まりました。
 月1回発行の『はんげんぱつ新聞』は、全国や世界各地からの報告のほか、前月の主な原発関連ニュースをまとめた「月間情報」、あるいは「反原発講座」、データを図表化した資料などを軸に誌面を作ってきました。
 なかでも「反原発講座」は、その時期その時期の問題になっている事柄、人々の関心の的になっていることを、言葉・情報の解説に終わらず、問題を紐解き分析し、本質を見極めるのに役立つようにと書かれ、読み手に大きなインパクトを与えてきました。そして、学習会やチラシをはじめさまざまな形で利用されてきました。講師(書き手)は、科学者や弁護士といった専門家とともに、各地の住民が担いました。
 テーマは、チェルブイリやJCOなどの事故やその被害、放射能の恐ろしさ、労働者被曝、原発のさまざまな危険性、もんじゅや核燃料再処理工場をはじめ核燃料サイクルの問題点、プルトニウム、地震、漁業への影響、放射性廃棄物、原発裁判、エネルギー問題、原発の経済学、核兵器、電磁波問題と多岐にわたります。学校の授業でいえば、物理や化学、生物、地学といった理科だけでなく、政治や経済、地理、科学史といった社会科。難しい言葉・情報を、やたら使われる横文字をできるだけわかりやすく、でも本質はきっちりととらえて短い文章で伝える文章力を求められるので、国語の勉強でもあります。「もんじゅ事故の数字をひろう」といったものもあり、算数も。そして原発問題をとおし、先人の知恵を学び、人のあり方・生き方、社会のあり方まで考える「授業」が展開されました。
 2002年1月号現在で287回の講義が行なわれたことになります。2回、3回と分けて連載されたものもあれば、何年か後に同じテーマをその時点の知見に基づいて書かれたものもあります。
 本書は、その講義の中から57講を選んで1冊の本としました。どの「講座」も全部読んでほしいとの思いにかられながらの選択でした。10年以上、20年以上も前のものもあるので、若干の訂正を加えました。
「反原発講座」が脱原発への加速をどれだけつけることができたか、言いかえれば、和歌山県日高や新潟県巻や三重県芦浜・海山など新規立地阻止に、プルサーマル阻止をはじめ全国各地のさまざまな運動にどれだけ寄与できたか、定量的には表せません。
 いまだ脱原発社会を迎えてないからこそ「反原発講座」をより多くの人々に読んでもらいたい、そして脱原発社会への道をともに歩みたいとの願いをこめて本書を刊行しました。
 本書には納められませんでしたが、1988年には、高木仁三郎さんが「初めて出会う原子力」と題して「小中学生にも理解できることをめざした初心者向け講座の試みです。初心でない人も、子どもたちに話す参考にどうぞ」と、1年間12回の講座を行ないました(高木仁三郎著作集「第11巻 子どもたちの未来」に収録されます)。
 本書を読まれて、他の「講座」も目を通したいと思われた方はぜひ『反原発新聞縮刷版』第沛W・第集・第。集をご覧下さい。あわせて『はんげんぱつ新聞』もお読みいただければ幸いです。

2002年1月
反原発運動全国連絡会 世話人 佐伯昌和