総合学習の創造
理科を変える、
学校が変わる

最首悟、盛口襄、山口幸夫 編
定価:2000円+税
A5判並製 264ページ
2001年刊
ISBN 4-8228-0150-0



  

まえがき   盛口 襄

ハードパスからソフトパスへ 山口幸夫
1 子どもたちの息吹き
2 理科を変えたい―この10年
3 ハードパスからソフトパスへ


1. 小学校編


(1)子どもの目が変わる、行動が変わる 安河内 功
1 「はしりもの・かわりだね」って何?
2 もってくる図鑑
3 発表の仕方
4 植物図鑑や昆虫図鑑で名前を調べる
5 発表したものはそうするのか?
6 学級通信を出します



(2)「地球・人・生命」―一学期の学習から 片桐健司
1 まず、やりたいこと、知りたいことを書いてもらう
2 調べ方もみんなで考えて
3 調べはじめる子が次々と出てきて
4 宇宙はどうやってできた?
5 宇宙はの広さや時間の長さを考える
6 地球はいつどうやってできた?
7 できたばかりの地球の様子から生命の誕生へ
8 生命はどうやって生まれた?
9 一億年を一メートルとした年表づくり
10 今の地球環境ができるまでに何十億年もかかっている
11 最後に40メートルの年表をつくって


(3)自然や人との関わりを深め、自分を
       確かなものにしていく子どもたち
大森範子
1 はじめに
2 地域を舞台にして
3 地域の自然を活かして(五竹気象台)
4 「生命」を共感し、自らの生き方をにつなげる理科教育
5 おわりに
 
 

2. 中学校編
 
(1)四万十川の川辺で 矢野川 清
1 はじめに
2 本校の環境
3 実施形態による取り組み
4 おわりに

(2)生きる力を取り戻す―音と光から考える 岩間 滋
1 授業に具体物を
2 授業実践
3 受験はすべてをゆがめる

 

3. 高校編
 

(1)どう現代科学を伝えるのか 佐藤琢夫
1 理科ばなれ
2 『20世紀理科年表』
3 受験はすべてをゆがめる
 

(2)自分の生活から見直そう
    ―理科、その他の科目「環境と人間」より
小泉信三
1 はじめに
2 『環境と人間』の概要
3 プリントの一部
4 生徒のレポート
5 生徒の反応など
6 まとめ


 
(3)オゾン層の危機から出発 米田雅人
1 三年物理選択者グループ
2 発表は二年化学選択者グループへ
3 発表は一年生物選択者グループへ
4 あとがき

 
 
 
4. 小・中・高を通して

(1)地域の自然に目を向けながら 熊沢文男
1 色めがね
2 「まるごと」と色めがね
3 差別されたゴミ、材料の科学
4 ゴミと化学物質
5 閉鎖系の中の循環と生活
6 物質をエネルギーの視点で見る

 
 
 
(2)「もの」にこだわる化学
          ―高校は小・中・大の中継ぎ
盛口 襄
1 はじめに
2 基礎がわからない
3 日常のくらしの中で
4 さらに金属にこだわる
5 最近の授業から
6 学力について
 
  

ソフトパスへの道    最首 悟
1 合言葉は切断
2 切っても切れない
3 とどまる
 

あとがき    盛口 襄





 自然のふしぎに出合い、そこから子どもたちが広い世界に入っていくように導く安河内功(岡山)。生命の大切さを地球史の中で語りかける片桐健司(東京)。自分は誰か、地域と仲間たちと確かめていく大森範子(三重)。教師と子どもたちが共鳴し、学校が楽しいもの、意義あるものとなっている姿を見ることができる。小学校のみごとな実践である。

 中学校理科で岩間滋(岩手)は、本当にわかるとは、と授業に工夫を凝らす。教科書や書かれたものからは汲みとれない自然理解を具体物を活用して、感覚的にも深めていく。四国の清流―四万十川中流域の中学校で矢野川清(高知)は、地域の保護者たちを巻き込んで総合学習を展開する。生徒たちは道具や材料を学び、伝統の知恵を受け継ぎながらカヌーづくりを楽しむ。
 高校理科は大学受験との間で悩みが深い。進学希望の生徒にとっても有用な授業実践の例が佐藤琢夫(岩手)と米田雅人(石川)の取り組みである。教師の側の日々の勉強ぶりが授業に反映し、生徒たちが、それぞれ全身で受けとめる。現代社会が科学技術で首根っこをおさえられている現実を生徒たちが、理科の知識を通して理解していく。大学の講義も真っ青というレベルだ。高校でこういう先生に出会えた生徒は幸せだと思う。

 小学校で長年にわたって先進的な理科教育を実践してきた熊沢文男(秋田)は、戦後教育をふり返りながら、そして地域の自然に目を向けながら、これからの理科教育のあり方を示唆する。時間短縮、能率優先思想の文部科学省や国家官僚のやり方では社会は持続しないと、実例をあげながら説く。

 盛口襄(千葉)は編者の一人だが、知られた高校化学の先生である。高校化学の現場から小・中・高を通して化学教育のあり方を論じてもらった。盛口はどこまでも「もの」にこだわる。物質の世界を通して化学を見、社会を見る。理論や思想は不変ではない。「もの」こそが基盤であると考える。

 盛口は化学を通して教育を考えている。物理学や生物学や地学や旧来の理科の分類のそれぞれの立場から、盛口のような議論が欲しい。が、いまだそれは無い。今後の課題である。

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