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日本、ぼくが愛するその理由は
著者 ジャン=フランソワ・サブレ 日本社会の理不尽さを知りつくした社会学者で日本専門家サブレが語る、彼を魅了してやまない日本の人びとの懐の深さとやさしさ」(「ル・モンド」日本特派員フィリップ・ポンス)。忘れ去られた日本の精髄をユーモアたっぷりにフランスのエスプリで語る。 |
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日本語版出版によせて プロローグ 文化の違いを超えて 第1章 マルコ・ポーロがチパンゴと呼んだ国 第2章 北に彷徨い落ち着く 第3章 永谷のおばあさんと幸せの家 第4章 打ち明けられた苦悩 第5章 まるい地球に夕日が沈む エピローグ ギョウザの哲学 訳者あとがき |
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日本語版出版によせて ふたつの山があった。住人はそれぞれ「おらが山がいちばん」と思い暮らしている。いったい、誰が好き好んで自分の山を下りて他人の山を登るというのか。 しかし、故郷を出た先人もいた。ぼくも、もうひとつの山がどんなところなのか知りたくなり、山を下りることにした。もうひとつの山を登る道は険しく曲がりくねっていた。しかしそこで暮らし始めると、意外や居心地はよく、そこで学んだ文化や言語は大きな収穫となった。 その山からは故郷の山を見渡すことができた。ほかの山の頂に立つと、自分の山のことが??良い面も悪い面も??よく見えるようになる。これもまた大きな収穫。それから、いろいろな山に登るようになった。文化も違えばそれぞれ興味深く、優劣をつけることはできない。 歳とともに日本、フランスという山を登り下りするぼくの足腰も弱ってきた。いつ道端で倒れてしまうかもしれない。しかし、これだけは言える。道中での発見こそが本物で、さらなる収穫となる。それは、「違う」ということについて考える行為そのもの。未知を探して彷徨い、さまざまな人と出会う旅路でこそ、自分自身の問いに答えを見出すことができるのではないだろうか。 二〇〇七年一月 ジャン=フランソワ・サブレ 訳者あとがき 本書には、フランスきっての日本通として知られる、ジャン=フランソワ・サブレさんの日本に対する想いがつまっている。それは、若き仏語講師として北海道に赴任した日本語を解さない時代から、東京・神楽坂に根を下ろしての近所づきあい、たまたま定食屋で相席になった人と夜を徹して花を咲かせた哲学談義まで、サブレさんが日本をまさに「吸収」していったみちのりでもある。 サブレさんの希求する違い──自分と異なるものを見つけ、なぜ違うのかを考え、そしてその違いを尊重すること──は、外国の文化や慣習を学ぶときにだけでなく、他者と接する日常で常に問われるものであろう。そこにサブレさんのやさしさの原点がある。 日本専門家として国際舞台で活躍し、数多くの著作もある一方、「サブレおじさん」とでも呼びたくなるほど陽気で親しみやすく、情にもろい寂しがり屋。行間には、その温かな人柄がよくにじみ出ている。 日本社会には欠点が多々あるからこそ、それに抗して闘う草の根の民衆が好きだ、というサブレさんの気持ちを多くの方々に知ってもらいたい。フランス人の目を通して見た日本の長所を日本の読者が再認識し、ひげ先生、永谷のおばあさんを始め、多くの人々の人生模様と、それらに対するサブレさんの思いを共有できれば幸いである。それは、サブレさん個人の生きた日本であるだけでなく、日本で失われつつある大切な一面を象徴しているからだ。 二〇〇七年一月 鎌田 愛 |