札幌時計台レッスン
政治を語る言葉

山口二郎編 中島岳志、辛淑玉、香山リカ、佐藤優著
定価1800円+税
四六 並製 272ページ
ISBN978-4-8228-0869-3


「既存のメディアの受け売りではなく、自分の言葉で政治を語るようになれば、必ず未来は変えられる。社会に参画している人間が、自らの抱える問題を公共的空間に提起することを何ら遠慮する必要はない。本書で展開されるのは、政治を語る言葉を豊かにするための、さまざまな論者によるレッスンである」(山口二郎)。

著者プロフィール

山口二郎(やまぐち じろう)

一九五八年、岡山県生まれ。政治学者。北海道大学大学院法学研究科教授。東京大学法学部を卒業後、同大助手を経て北海道大学へ。グローバル化の荒波のなかで、人間の尊厳を守るための政治や政策をいかに実現するかという課題を考え続けている。『週刊東洋経済』『週刊金曜日』などで政治批評を連載。著書に『行政叢書6・内閣制度』(東京大学出版会)『ブレア時代のイギリス』(岩波新書)『ポスト戦後政治への対抗軸』(岩波書店)ほか多数。
http://yamaguchijiro.com

中島岳志(なかじま たけし)

一九七五年、大阪生まれ北海道大学公共政策大学院准教授。大阪外国語大学でヒンディー語を専攻。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。二〇〇六年より現職。京都大学大学院在学時よりインドを訪れ、ヒンドゥー・ナショナリストとの共同生活を通じて宗教とナショナリズムの問題を追究。文献・フィールドワーク両面から研究を重ねる。現在の主な研究領域は、現代インド研究、近代日本アジア主義研究。主著に『中村屋のボース』(白水社、大佛次郎論壇賞)『ナショナリズムと宗教』(春風社)『パール判事』(白水社)『日本──根拠地からの問い』(姜尚中との共著、毎日新聞社)ほか。
http://www.indo.to/log/nakajima/

辛淑玉(しん すご)

辛淑玉 一九五九年、東京都生まれ。人材育成コンサルタント。(株)香科舎代表。学校、企業、自治体、各種団体からの依頼で、改正均等法をベースにした人材育成、ビジネスショーなどの運営、人権に関わる研修・講演を行う傍ら各メディアで活躍。被差別日系研究所、シューレ大学アドバイザー、憲法行脚の会呼びかけ人。著書に『怒らない人』(角川書店)『悪あがきのすすめ』 (岩波新書)『鬼哭啾啾』(解放出版社)『いじめるな!──いじめ社会ニッポン』(香山リカとの共著、角川書店)『ケンカの作法』(佐高信との共著、角川書店)ほか多数。
http://www.shinsugok.com/

香山リカ(かやま りか)

一九六〇年、北海道生まれ。精神科医。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。臨床経験を生かして、各メディアで社会批評、文化批評、書評など幅広く活躍し、現代人の・心の病・について洞察を続けている。著書に『セックスがこわい』(筑摩書房)『なぜ日本人は劣化したか』(講談社現代新書)『〈私〉の愛国心』(ちくま新書)『ぷちナショナリズム症候群』(中公新書 ラクレ)『いじめるな!──いじめ社会ニッポン』(辛淑玉との共著、角川書店)『チルドレンな日本』(佐高信氏との共著、七つ森書館)ほか多数。
http://www.caravan.to

佐藤優(さとう まさる)

一九六〇年、東京都生まれ。起訴休職外務事務官。本省欧亜局ソビエト連邦課、情報調査局情報課、ロンドン、モスクワの日本大使館勤務を経て、本省国際情報局分析第一課に勤務。職務の傍らモスクワ国立大学哲学部、東京大学教養学部で教鞭をとる。ロシアでの情報活動で活躍し、「外務省のラスプーチン」などの異名をとる。二〇〇二年五月背任容疑で逮捕される。一審、二審とも執行猶予付の有罪判決を受け、現在上告中。著書に『国家の罠』(新潮社、毎日出版文化賞特別賞受賞)『自壊する帝国』(新潮社、大宅壮一ノンフィクション賞受賞)『正義の正体』(田中森一との共著、集英社)ほか多数。
http://web.chokugen.jp/sato/profile.html

序章 瀬戸際の戦後日本 山口二郎

なぜフォーラムを立ち上げたか
何が問われているのか
政治の現状をどう見るか
政治を語る言葉を取り戻そう

第1章 岐路に立つ戦後日本 山口二郎

歴史とはそれぞれの人がもつ物語
世間を冷静に見つめた永井荷風
私たちは国の在り方について責任をもっているか
敗戦をどう受け止めたか
中野重治が説く足もとからの民主主義
戦後レジームの変容
平和国家路線における解釈改憲は護憲である
リスクを社会化する
日本型パターナリズム
既得権を攻撃する爽快感
「持続可能」な政策でつくりだす未来

第2章 アンチの論理を超えるために 中島岳志

日本は保守化しているか?
小泉政治が利用した「アンチの論理」
エドマンド・バークに始まる近代保守主義
人間は不完全である
理性の限界
「熱狂」が孕む危険性
思弁的政治理念の普遍性を疑う
「規律ある自由」の擁護、「過剰な平等」への批判
人間の限定性
宗教・絶対者の重視
真の保守主義と社民主義の確立こそ重要

第3章 マイノリティーから見た戦後日本の欠落 辛淑玉

貧乏子だくさんの向こうに性暴力を想像できますか?
一票をもたない人間の言葉を聞いてくれる政治家はいない
在日は無権利、つまり奴隷状態なんです。
「でも、アメリカは、ぼくを守ってくれるよ」
殺されそうな人のことを「プータロー」と政治家が言えるんですね
「女・子どもがちゃらちゃら出てくるんじゃないよ」
貧乏人は自衛隊に行きますよ、飯食うためには
日本の社会に民主主義が訪れたことは一度もなかった
沖縄に憲法九条がやってきたことは一度もない
戦争に希望をもてるなんて日本人はいいですね
差別って快楽なんです
日本の人はなぜ北朝鮮に「在日を返せ」と言わない?
マイノリティーで、無学で、女──、が希望をもてる社会をつくりたい

第4章 磁場に揺れる日本 香山リカ

医療の聖域に逃げ込み世間の批判をかわす
公共・権力の場で増える暴力
キーワードはお金
一部の自己主張する人たちの影で増殖される大勢
個の声はあくまで一人ひとりの分子運動
品格・スピリチュアルに求める権威
想像力と巨視的視点の欠如
九年連続、三万人以上の自殺者
他者への配慮なき民主主義
権利と特権のはき違え

第5章 思想で抗する新自由主義 佐藤優

出処進退でふらつくような人は宰相の器じゃない
北海道の人は沖縄戦で一万人以上が亡くなった
琉球沖縄独立論
しのびよるアメリカの影
北方領土は国家神話の問題
北朝鮮外交の・へたくそ罪・と・ぼんやり罪・
知識の還元でつくりだす世論の動き
アメリカは「ドラえもん」のジャイアンである
官僚はアメリカを喜ばせると出世する
過剰忖度が日本をダメにする
幸福追求権の幅を広く保証することが国家の役割
日本を豊かにする異質な文化
思想なきイデオロギー
集合的エゴイズムを徹底的に追求する

終章 政党政治の展望 山口二郎