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世界金融恐慌 1929年世界恐慌が再来するのか?
奥村 宏 著
高杉良氏大推薦! |
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第1章 “サブプライム恐慌”はなぜ起こったのか? 住宅バブルの崩壊が“サブプライム恐慌”をもたらした 日本の“バブル崩壊”と似ている 「暗黒の木曜日」と「暗黒の月曜日」 日本の株価暴落は“スターリン暴落”から サブプライム危機はヨーロッパ、そして日本にも波及した イギリス/その他のヨーロッパ/日本 株価暴落で大打撃を受けた人たち 第2章 肥大化した金融部門が生んだ悲劇 資本主義の黄金時代 一九七〇年代半ばから変化が始まった 金融は“敬虔な侍女”から主人に変わった 証券化という魔術が、危機を世界中に拡大した 格付け機関は信用できない 「相手が見えない関係」がリスクを拡大した それでも「証券化に罪はない」と言えるのか 自分で自分の首を締める結果となった 金融工学の罪を問う 忘れ去られたLTCM破綻の悲劇 サムエルソンは「悪魔的な怪物」と指摘した 何のための経済学か 金融危機は、金融資本が自らまいた種なのだ 投資銀行という怪物が消え去った 第3章 ウォール街の中枢を占める投資銀行 アメリカの五大投資銀行 ゴールドマン・サックス/リーマン・ブラザーズ/モルガン・スタンレー メリルリンチ/ベアー・スターンズ グラス・スティーガル法による規制 規制緩和が銀行と証券の垣根を撤廃した 変身する投資銀行 なぜリーマン・ブラザーズを倒産に追い込んだのか? 山一証券の倒産によく似ている 投資銀行は生き残れるか? 「そして誰もいなくなった」 第4章 一九二九年大恐慌との比較 チャーチルが目撃していた“暗黒の木曜日” 世界大恐慌に発展した 大恐慌はなぜ起こったのか? アメリカのドル支配体制が崩壊しつつある 個人投機家が主役の時代になった 持株会社がもつ危険性 投資信託と年金基金という機関投資家 グラス・スティーガル法が銀行の健全経営を促進した 投資銀行が商業銀行に逆転した ルーズベルト大統領のニューディール政策 オバマ大統領の経済政策はどうか? 第5章 日本の“バブル崩壊”が教えるもの 日本は矛盾の先進国だ バブルはいつ発生したのか? 株式所有の法人化が株高をもたらした 機関投資家が投機化した “ブラック・マンデイ”は、大恐慌の再来か? 「ニューズウィーク」の予告 エクイティ・ファイナンスが“バブル崩壊”の原因だ 先物取引が危険性を増した 驚くべき御用学者の“持合い”賛美論 今こそ、バブルとバブル崩壊の教訓を学ぶべき時だ 第6章 新自由主義の破綻 誤りを認めたグリーンスパンFRB前議長 国有企業の私有化と規制緩和が新自由主義の二本柱だ 大企業は儲からなくなった 巨大株式会社体制の危機対策が新自由主義政策だ アダム・スミスの時代の個人主義 個人資本主義に代わって会社資本主義の時代になった ブッシュ政権は、自縄自縛にあえいでいる! 巨大株式会社が生み出した矛盾 それは国家資本主義だった ニューディール政策を復活したのでは、展望が開かれない 第7章 公的資金投入と国有化が意味するもの アメリカ政府の公的資金投入 ブッシュ大統領は「国有化ではない」と言うが 公的資金を投入するヨーロッパの現状 “バブル崩壊時”の日本における公的資金投入の経験 経営者の責任を追及しないのは、おかしい りそな銀行のケースでは、株主の責任も追及しない 新生銀行のケースは外国投資ファンドへの大安売りだ これほどボロい話はない! サブプライム危機が提起する“国有化”とは何か? 社会主義=国有化か? 第8章 危機はどこへ行くのか(クオ・ヴァディス)? サブプライム危機は、日本のチャンスとなり得るか? 見事に失敗した、日本の銀行の痛い経験 日本の銀行、証券会社が受けた打撃は小さかった それは“怪我の功名”だった 一九二九年恐慌の教訓は覇権国家の交替である アメリカ一国支配の時代は終わった 中国が支配する時代になるか? 世界は、覇権国家のない時代へ向かう 日本の会社本位主義は崩れる アメリカ追随をやめてアジア諸国と連帯すべきだ 結び 大企業の時代は終わった 誰のための規制緩和であったのか? 大企業の時代は終わった 大企業を解体しない限り、未来は開かれない やがて株式会社の時代も終わるか 協同組合、NPO、そして新しい企業 国有化=社会主義ではない 企業を労働組合が自主管理する |
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はしがき アメリカの低所得者用の住宅ローン(サブプライム・ローン)の破綻から起こった金融危機は、ヨーロッパや日本だけでなく、中国やロシアなども巻き込んで全世界に波及し、世界的な金融恐慌にまで発展した。 2007年から08年にかけてアメリカの株価が暴落し(ニューヨーク証券取引所)、日本の株価はそれ以上に下げた。その後、株価は一時戻すこともあったが、すぐにまた暴落するという不安定な動きを続けている。 そこでポール・サムエルソンをはじめ、多くの経済学者が、これは1929年の世界大恐慌以来のことであると指摘している。1929年(昭和4年)10月24日、ニューヨーク株式が暴落し、それがすぐにヨーロッパや日本にも波及して世界恐慌にまで発展していったことはよく知られている。 そこで、今回のサブプライム危機もそのようなことになるのではないか、と人びとは脅えているのである。 なぜ、こんなことになったのか、これまでにもこんなことはあったのか、そして、この問題を解決するにはどうしたらよいのか。 人びとはいま真剣に考えているのだが、もちろん解決策はそれほど簡単にはでてこない。これから経済学者はもちろん、政治家や経営者、労働組合員たちがいろいろ考えていくだろうが、それに少しでも役立てば、と思ってこの本を書いた。 「かくも大きな金融恐慌が自分が生きている間に起きたことには驚いた。だが、起こること自体には驚いていない。私は資本主義というものが本質的にこういう不安定さを持っていると常に考えてきたので、理論的には予測されたことだったからだ。」 岩井克人東大教授はこういっている(「朝日新聞」2008年10月17日)が、資本主義は本質的に不安定だから、こういう事も起こる、といったのでは、人びとはあきらめるしかない。 そうではなく、なぜこんなことが起こったのか、ということを事実の上に立って解明し、そして過去の歴史と比べてどこが似ており、どこが違うのか、ということを検討することが必要なのではないか。 これまで株式会社についてほぼ半世紀にわたって研究してきた成果を元に、急いで書き上げたので、誤りもあるかもしれない。なにより事態は目下進行中なので、予想もしなかったような事が起こるかもしれないが、読者がこの問題について考える際に役立てば、と願っている。 2008年11月15日 奥村 宏 |