食べものは商品じゃない
すこやかな命を未来へ…

著者竹内直一 
定価:1800円+税
四六判 240ページ
2002年刊
ISBN 4-8228-0252-3


「食べものは人類が生きていくうえで、空気、水と並んで、最優先に確保しなければならない『生命財』なのです」──元農水官僚・日本消費者連盟創始者の直言!

 


第1章 生命と環境を守る農業

第2章 農業再生への道

第3章 新農本主義の提唱

第4章 生活者の目・食と農への目
     1 生活者の目
     2 食と農への目

第5章 命をかつぐ消費者運動
     1 すこやかに生きるために――告発型と草の根の消費者運動
     2 ホイッスル・ブロウアーになる勇気を持つ
     3 地球に生きる市民として―アジア太平洋消費者会議 基調報告

第6章 すこやかな命を未来へ
     1 食料問題の鍵にぎる消費者―戦後の流れからみた新農政プラン
     2 発想をかえて農業の蘇生を


                           

第1章より抜粋

生命体にとって「食べもの」とは

 食べものの大半は、お店で売られ、私たちはおカネを出して手に入れています。そういう意味では、確かに「商品」であります。しかし、よくよく考えてみると、一般の商品とは全く違った性格を持った「財貨」であることに気づきます。
 結論から言えば、食べものは、私たちの生命を維持するために絶対不可欠の、何物にも代えることのできない貴重な財貨であって、あれば便利でかっこいいけれど、なくても別に死にはしない〈並みの財貨〉とは、根本的に違うのです。言いかえれば、一般の商品市場経済の原理である「儲かれば作る。儲からねばやめる」ということは通用しない財貨なのです。人類が生きていくうえで、空気、水と並んで最優先に確保しなければならない「生命財」なのです。だから、人類の長い歴史は食べものをめぐっての闘争の歴史でありました。

(中略)

地球を食いつぶすな、地球の掟を守れ

 私たち日本人は、世界中から食べものを輸入して飽食にうつつを抜かしています。しかし、それは、世界中の自然を破壊し、生態系を滅すという罪業の上に成り立っているのです。私たちは地球破壊の共犯者となることを覚悟すべきです。この汚名だけは断じて返上しようではありませんか。
地球人を踏み台にした飽食を悔い改めよう 
 私たちの飽食は、世界の人びとの生活と健康を犠牲にして成り立っているのです。このような搾取、差別は断じて許されません。世界の恨みを買う行為は即時全廃しよう。

いのちをかつぐ農の営みは永遠に不滅

 工業化が進む国は必然的に農業は衰退するといった論は間違いです。現に、先進諸国はいずれも農業を盛んにしています。唯一の例外はこの日本国だけです。人が生きている限り農の営みは未来永劫滅びることはないのです。食に関係ある農林漁業には絶対にその担い手が必要不可欠です。しかし、現状はそれを阻んでいます。それは、これを邪魔するものが存在しているためです。私たちのやるべきことは、こうした障害と戦っていくことです。そして、生命の復権を打ち立てようではありませんか。

今こそ主権者の実力を示そう

 私たちは、日本国憲法によってこの国の主権者の地位を確保しています。しかし、残念ながら私たちの代理人である議員や公僕である官僚によってしばしば都合よく振る舞われ、それを傍観するばかりです。今こそ〈観客民主主義〉から〈主役民主主義〉に変身し、生きることに専念しようではありませんか。何にせよ「天ハ自ラ助クル者ヲ助ク」です。