「2010年自然エネルギー10パーセント戦略」に向けて
日本でも自然エネルギーの普及を目指す動きが一段と活発になってきました。国会で超党派の「自然エネルギー促進議員連盟」が発足したのをはじめ、通産大臣の諮問機関である総合エネルギー調査会に新エネルギー部会が設けられたり、議員立法で「自然エネルギー発電促進法」が立案されるなど、「自然エネルギー促進法」推進ネットワーク(GEN)が発足してから、わずか1年の間に、自然エネルギーをめぐる社会環境は大きく変わりました。東海村の臨界事故、北川正恭三重県知事による芦浜原発白紙撤回宣言も追い風となっています。しかし、「コストが高い」「供給が不安定」といった自然エネルギーに対する古典的な見方がまだ根強く、これらを払拭して大胆な政策を進めていく必要があります。
日本がもたつく間に、先行するドイツがさらに大胆な政策を打ち出しています。この春から、新しい「自然エネルギー促進法」を施行したのです。ドイツは1991年に「電力買取法」という制度を導入しました。これは、一般電気料金の九割という「一定率価格」で電力会社が風力発電や太陽光発電からの電力を買い取ることを定めていました。この一定率価格での買取制度こそが、昨年末までに440万キロワットと、日本の50倍の規模に達するほどの風力発電の導入を成功に導いた最大の要因です。新法の第一のポイントは、旧法の成功の上に立ち、定率ではなく完全固定価格制に移行したことです。旧法では一般電気料金との比率で買取価格を定めていましたが、電力自由化による電気料金の低下に連動して風力発電などからの買取価格も下がるため、自然エネルギー普及への悪影響が懸念され始めました。そのため新法では、一般電気料金が下がっても買取価格については下がらないように一定水準に固定した「完全固定価格制」を導入しました。
第二に、コストの低下した沿岸部の風力発電からの買取価格を下げる一方で、まだコストの高い太陽光発電に対してはなんと一般電気料金の約3倍(約55円)という買取価格を定めるなど、各種の自然エネルギーがそれぞれ普及が進むように、きめ細かく設定していることです。太陽光発電だけはかろうじて「世界一」の規模を誇っている日本ですが、この新法によって、早晩、ドイツに追い抜かれることは間違いないでしょう。
第三に、これまで一部の電力会社に偏っていた経済的負担(高く買取ることによる負担など)を、すべての電力会社、すなわち全国民で共有するようにしたことです。これは、自然エネルギーに対するドイツ国民の高い支持の表れです。
ドイツの新法は、現在は2パーセント以下にとどまっている電力分野の自然エネルギーによる発電量の比率を、2005年までに五パーセント、2010年までに10パーセントに引き上げるという大胆な目標を実現させるのが狙いです。欧州連合(EU)の目指す自然エネルギー供給の倍増政策にも調和しています。
ドイツのこうした積極的な政策は、「グリーンゴールドラッシュ」と呼ばれる社会現象がきっかけになりました。わずか10年前には影も形もなかったドイツの風力発電産業やその周辺事業が活況を呈しているだけでなく、グリーン電力などの全く新しいビジネスが広がりつつあります。旧法の成功の上に立つ新法では、風力と同様な市場成長を、バイオエネルギーや太陽光発電など他の自然エネルギーにも期待しています。
日本でも、「グリーンゴールドラッシュ」の大きな風を巻き起こし、経済と環境とを高い次元で統合させるために、「2010年自然エネルギー10パーセント戦略」という、政治的に高い目標を立てなければなりません。本書は、その扉を開いてくれることでしょう。
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