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No.2―1999年12月 発行・株式会社 七つ森書館 〒113-0033 東京都文京区本郷3-13-3 三富ビル Tel.03-3818-9311 Fax.03-3818-9312 |
目次 |
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・近況 |
サムサノナツハオロオロアルキ |
| 9月30日に起きた東海村JCOの臨界事故に深い衝撃を受けました。 事故の被害者である大内さんは大変危険な状態が続き、容態が危ぶまれています。日本においてこれほど大量の放射線被曝を受けたのは、ヒロシマ、ナガサキの被爆者以来のことだといいます。「安全」を標榜してきた原子力産業においては、まったく初めての出来事でした。 ご本人の心情はいかばかりであったでしょうか。脱原発をテーマに出版活動を続けてきた者として、悔恨の思いに駆られます。もっと、いろいろなことをできなかったのか、と。おろおろするばかりです。しかし、おろおろする中から、新しいものを創り出していかなかればならないのでしょう。 表題の「雨ニモマケズ」の一節の前段で、宮澤賢治は「東ニ病気ノコドモアレバ 行ツテ看病シテヤリ 西ニツカレタ母アレバ……」と人事を尽くしています。そうしていながら「ヒデリノトキハナミダヲナガシ サムサノナツハオロオロアルキ」 |
と天地自然の力の前に立ち尽くしています。この言葉は、絶望感を吐露したものなのでしょうか。いいえ、むしろ、新しいものを創り出していく決意を読みとっていきたいのです。そして、おろおろした心情を決して忘れたくありません。 小社では本をつくる用紙や印刷インク材料の見直しを行ってきました。 |
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| ●10月3日から3回に分けて、大型書店、原発立地県、人文書・理工書の書店さんへ脱原発関連書の目録をFAX送信しました。多くの注文をいただきましたが、読者からの注文が伸び悩んでいます。1986年のチェルノブイリ原発事故の時もそうでした。本が動くようになるまで、しばらくの時間がかかりました。事故があまりに深刻であるために、多くの市民が呆然としているよう感じられます。 ●急遽、『漠さんの原発なんかいらない』を出版。12月10日頃から本屋さんの店頭に並んでいます。 ●7月から成田空港の暫定滑走路問題で、声明「成田空港の滑走路暫定案を白紙に戻す声明」の運動に参加。賛同署名した第一次集約620個人、17団体、海外からの賛同25件をもって、10月1日運輸省提出に同行しました。東海臨界事故の翌日のことでした。第二次集約と合わせて800余の署名。いま、この報告集づくりに協力しています。声明と報告集のお問い合わせは、小社まで。 ●高木学校Bコース第2回連続講座「エネルギーと生活」に吉岡と中里がスタッフとして参加。9月25日から2週間ごとに開講したテーマは、「暮らしの中のエネルギー」「エネルギーと交通」「原子力発電と放射性廃棄物」「これからのエネルギー」の4回。現在、スタッフ全員が報告集の原稿を書いていますが、編集作業の手伝いをして来春には発行となります。 |
●また、3月に高木学校のスタッフ4名が事故後20年経ったスリーマイル島原発の調査に行きました。事故当時まだ子どもだった若者たちが彼らの目で見たレポートを書きましたが、この編集を吉岡が進めています。来春早早には完成予定。高木学校のお問い合わせは、 〒164-0003 東京都中野区東中野1-58-15 原子力資料情報室気付 高木学校事務局 TEL.03-5330-9520 FAX.03-5330-9530 URL:http://www.jca.ax.apc.org/takasas/ ●この通信を書いている側で、数人の大学生がパソコンに向かってゴソゴソ。環境問題研究グループ「ヤマセミ」のみなさんが季刊誌「ヤマセミ」のDTP編集作業をしているのです。創刊号は好評で完売。現在編集中の第2号の特集は「原子力発電」ですが、年内の完成が待ち遠しい。お問い合わせは小社の吉岡まで(彼ら彼女らは、吉岡の後輩なのです)。 ●編集中の本は、萩原忠幸著『漢方で治すゆううつイライラ不安』、西尾漠著『漠さんが語る地球環境とエネルギー』、地球的課題の実験村準備会編『実験村の未来』、水口憲哉著『環境連鎖』(いずれも仮題)、原子力資料情報室編『原子力市民年鑑2000』など。高木仁三郎さんの新刊も出せそう。楽しみにお待ちください。( |
『漠さんの 原発なんかいらない』 |
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放射線・放射能による災害が起こり、多くの人が避難・屋内退避を余儀なくされるような事故は「日本では起こりえない」という、原発を推進する人たちの主張は、やはり嘘でした。その嘘がはっきりした以上、このまま原子力の利用をつづけていってよいかが根本的に問われるのは、当然のことでしょう。ここできちんとした対応をしなければ、さらに厳しくツケの清算を迫られることになるのは明らかです。 著者の西尾漠さんは、東海村のJCO臨界事故の対応に追われる超多忙状態が続いていましたが、一段落した10月半ばに電話で打ち合わせをしました。9月末に原稿を受け取っていた『漠さんの地球環境とエネルギー――脱原発が地球を救う』(仮題)の制作進行についてと、毎年4月に発行する『原子力市民年鑑』の企画についてです。その折りに、「臨界事故について1冊お願いできないか」と言いますと、西尾さんは快諾。すぐに企画内容の打ち合わせに入りました。振り返ってみますと、小社には脱原発のわかりやすくてハンディーな入門書がありませんでしたし、事態の緊急性からブックレット形式を提案しました。西尾さんもその必要性を認め、『地球環境とエネルギー』の前に発行することにして、執筆へ。 |
1か月後の11月12日に脱稿。西尾さんは25日から「アジアにおける持続可能で平和なエネルギー」のワークショップで発言するためにタイへ行くことになっていましたから、編集作業を急ピッチで進めました。 16日から著者校正をしていただき、22日には印刷所へ入稿。デザイナーの方はカバーのデザインをわずか3日で仕上げてくださいました。印刷所の担当の方も12月1日には200冊の納入を確約してくれました。実にありがたいことです。通常は2週間以上かかる日程を10日に縮めてくれたのですから。 おかげで、1日夜の原子力資料情報室の公開研究会から売りに出すことができ、4日の東海臨界事故に怒る大集会でも本を並べることができました。 みなさん、本当にありがとう。 この本は、ハンディーとはいえ濃い内容です。臨界事故、原子力発電のしくみ、放射線と放射能、労働者被曝、核燃料サイクル、放射性廃棄物、廃炉、高速増殖炉とプルサーマル、原子力産業の実情、脱原発へ…など、原子力の全般的問題をわかりやすい文章でまとめていますから、「原子力はむずかしいから、ちょっと」と敬遠する人にも、自信をもって薦められます。そして、この本が広まることによって、脱原発へ、一歩前進したいと願います。( (本書は、A5判、96頁、定価1000円+税) |
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本文ではところどころ〈レズ〉という単語を使用しておりますが、ヘンタイ業界の一部にはこの表現を蔑称とする主張が、存在するようです。ですが、当事者の一員であるわたし自身の実感は、「もともと外来語略すのって珍しいことじゃないし、いっちゃなんだけどイデオロギーのヨロイまといつけなきゃ自己表現不可能なかたたち(運動家)って、情報に被害妄想的なフィルターかけてうけとらずにはいられない悲しい体質してらっしゃるみたいだし、んなかたたちの方針にアタイまでしたがわなきゃなんないいわれなんざ、ありゃしないわよね」だったりします。 (「あとがき」より) 著者の川西さんは、女性誌などで活躍していらっしゃるフリーライターです。プライベートな集まりや仕事の関係で顔を合わせるようになって数年経ちますが、その間に聞かせていただいた彼女の生い立ちは、とても数奇なものでした。 |
本書では、家族、教育、学校、宗教、そして性と、現代社会が抱えるといわれる問題が凝縮されて書かれています。こう言うと堅苦しい印象を受けるかもしれませんが、冒頭の引用のように、川西さんの文体は重苦しいものではありません。また内容も、とんでもなく悲惨な体験の連続ではありますが、読後感は明るいです。すでにお読みいただいた方々からも、大笑いして元気を貰ったと言っていただきました。 書名の「Q」はクィア(QUEER)を意味しています。クィアとは、もともと「ヘンな」とか「奇妙な」という意味を表す言葉ですが、ゲイやレズビアンだけではない性的少数者(トランスセクシュアル、トランスヴェスタイトなどなど)を一括して指すために使われるようになったものです。「ゲイ」が、もともとは「陽気な」という意味の言葉だったものを、同性愛者たちが自分たちを指す言葉として使い始めたのと同じように、です。 日本で「クィア」という言葉が使われるようになってから、セクシュアル・マイノリティをその単語で括ってしまっていいのかどうかが議論になりました。たとえば、女性として女性を性愛の対象にするレズビアンと、女性として生きていきたいと願うトランスセクシュアルとでは、同じマイノリティで社会的に差別されていると言っても、求める“利益”が違ってくるからです。 あるレズビアンは女性同士で生きていくことが法的に認められるべきだと考えるかもしれませんし、あるトランスセクシュアルは性転換手術を受けるために保険を利用できるべきだと考えるかもしれない、というようにです。――このあたりのことは『310人の性意識〜』をお読みいただければ、性のありかたがどれほどバラエティに富んだものか、また奥の深いものであるか、深くご理解いただけることと思います。 求める“利益”が違う人々をひとつの言葉で括ってしまっていいのかどうか。まだ結論は出ていないようですが、とはいえ、本来プライベートな問題であるはずの〈性〉が社会的制約を受けているのは事実で、そこにはさまざまな差別があるのも現実です。そういった問題に共に立ち向かおうという意思が、クィアという言葉に託されているのです。 セクシュアル・マイノリティの問題はマジョリティの問題であるということに、もっと多くの人が気づいてくれたらと思います。そのために七つ森書館の出版活動が少しでも役立てたら、とても嬉しいことです。 今後も、おもしろく読めて、それでいて必ず何かを得られるようなセクシュアリティ関連本をつくっていきます。目下、ドラァグクイーン(ゲイ独特の女装)である男性の著書を企画進行しておりますので、お楽しみに。(い) (本書は、四六判、216頁、定価1500円+税) |
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| うつ病でも神経症でも、精神状態が一番辛く、耐えがたく、不安と自信もない状態に身をさらすだけにとどまらず、さらに今の自分の姿を認識してこんなはずではなかったと、悩むことの辛さがさらにあります。 漢方薬を服用しますと、精神状態を反映する五臓に働きかけ、病気が生み出す不安や気持ちのめいりなどを次第に取り除いてくれるだけでなく、病気で苦しむ自分の姿に悩むこころも合わせて治していきます。 不安や気持ちの落ち込みをおさえこんでしまう治療ですと症状が抑えられても、自分らしさや考えるこころが本当に回復しているようには思えません。あくまでも病的な精神を生み出しているこころつまり五臓を調整して、治療効果を出していこうとするのが漢方薬なのです。 『ゆううつイライラ不安』(萩原忠幸著)より。 2000年1月刊行予定です。 |
エネルギー消費を小さくできれば、自然エネルギーの活躍の場が大きくなります。太陽の熱や光、風や波の力を利用する自然エネルギーは、使ってもなくならない更新性エネルギーです。その利用技術は成熟し、コストも下がってきました。 自然エネルギーの利用は、省エネルギーの意識を高め、また、分散型の利点を生かした省エネルギーをすすめます。互いに加速し合って、自然エネルギーを中心とした、エネルギーをあまり使わない社会をつくっていけるでしょう。 『地球環境とエネルギー』(西尾漠著)より。 |