No.5-2001年8月
発行・株式会社 七つ森書館
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No.5―2001年8月号
目次

『高木仁三郎著作集』の刊行開始

 いよいよ10月から『高木仁三郎著作集』の刊行が始まります。

 詳しい内容については、次ページの「『高木仁三郎著作集』の編集にあたって」と内容見本をご覧いただきたいと思いますが、まず本著作集に収録する著作の転載に同意してくださった出版社の諸兄諸姉、著者の方がた、資料の収集にご協力くださったみなさまに感謝の意を表します。ご迷惑をおかけした方、失礼をした方もいらっしゃるかと存じますが、おゆるし願いたく存じます。また、お忙しいなか編集委員をお引き受けくださった方がた、ご遺族の方がたにも感謝します。

 そして、著作集の刊行の機会をあたえてくださった高木仁三郎さんのお心遣いは、海よりも深いものと肝に銘じております。

 このように多くの方がたのご厚意を受けて、本著作集の刊行に邁進していきたいと存じます。
 本著作集は全12巻、各巻500〜600ページに及ぶ大著であり、刊行終了まで2年間を要する大事業であります。小社が社運をかけるのは当然ですが、ひとり小社の力で成せる事業ではありません。みなさまの一層のご支援とご指導ご鞭撻をお願いする次第です。

          ●
 さて、前号からの半年間で5冊の本を刊行しました。市民科学ブックスを創刊して『人間の顔をした科学』と『エントロピーと地球環境』発行。『原子力市民年鑑』は6年目を迎え、『21世紀のエコロジー社会』と『原発震災』も類書のない得難さから好評をいただいています。少ない人員ではありますが、著作集のほかこのような出版活動も通常どおりがんばっています。

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『高木仁三郎著作集』の編集にあたって

 前号でも書きましたが、高木さんの著作をまとめる話は昨年8月に、お宅に伺って著作目録をいただいた時から始まりました。
 高木さんが遺された膨大な著作をどのように編集するか、また心血を注がれた脱原発と市民のための科学の思想をどのように浮き彫りにするか。これが編集にあたっての問題です。その大前提として、本著作集は、高木仁三郎さんの思想と志を後世に末永く伝えるものであります。同時に、現代においても広く読まれ、歴史的評価に耐えるものでなければならないと考えます。そのために選集のようなものではなく、全集に近い著作集として企画しました。
 著作集を構成するにあたって、高木仁三郎さんが残された著作目録(「著書」「共著書」「論文」に分かれております)をもとにしておりますが、著作は膨大な量になります。著書(ペンネームを含む)は約50冊にのぼり、共著書も50冊を超え、雑誌・新聞などに発表した論文は現在も収集中ですが、その整理には相当な期間を充てなければならないほどです。高木さんがかかわってこられた分野と思索のフィールドの広さが伺われるものです。
 編集方針としては以下のように考えました。
○高木さん自身が遺した著作目録を基本とし、公刊された著作のすべてを収めるほか、新聞・雑誌に掲載した文章などを収録する。
○全体をテーマに分け、著作を年代順に配列する。
○著作は、最終発表に拠る。

 このような大枠の方針を決めて、著作の整理をしました。読者の方にとっての読みやすさに配慮して、以下のテーマに分けました。
(1)脱原発論……
     第1〜3巻「脱原発へ歩みだす」
(2)プルトニウム論……
     第4巻「プルートーンの火」
(3)核燃料サイクル論……
     第5巻「核燃料サイクル施設批判」
(4)反核/エネルギー論……
     第6巻「核の時代/エネルギー」
(5)科学・文明・運動論……
     第7〜9巻「市民科学者として生きる」
(6)科学読み物・小説……
     第10巻「鳥たちの舞うとき」
(7)子ども向けの読物……
     第11巻「子どもたちの未来」
 また、学術論文(英文を含む)と雑誌・新聞等に発表した論文をまとめて、
(8)論集……第12巻
 としますが、補巻の必要が生じるかもしれません。
 各巻の著作は、発表年代順に並べるのですが、テーマに沿って編集しますので、発表年代を追って著作を読むことが困難になる嫌いがあります。そこで、年代を追って思索の道筋をたどる手助けとして、最終巻に詳細な「年譜」と「著作目録」を付します。

     
 また、各巻には、解題、解説を付し、月報を挟み込みます。解題は、初出と著作の背景や関連などについての書誌的なものとなりますが、原子力資料情報室共同代表で反原発新聞編集長の西尾漠さんが執筆します。こうすることで、解説者の方には、思いの丈を書いていただきたいと考えています。月報のタイトルは『市民科学通信』――「市民科学あるいは市民科学者について」をメインテーマにして、各巻8名の方に原稿依頼しますが、全巻で約100名の方が執筆することになります。最終ページでは、お連れ合いの高木久仁子さんの連載を予定しています。
 第1回配本は「プルートーンの火」(第4巻)で、2周忌の10月8日として隔月の刊行を目指します。高木さんの最初の著作が『プルートーンの火』だったこととライト・ライブリフッド賞を受賞されたのがプルトニウムの研究によるものだったからです。第2回配本以降は、収録している著作の古いものから順に配本していきます。最終配本は、第12巻―2003年8月で完結します。
 編集委員は、以下の方にお願いしました。(五十音順、敬称略)
小木曽美和子(原発反対福井県民会議)
鎌田 慧(ルポルタージュ作家)
斎藤文一(物理学)
佐高 信(評論家)
高木隆郎(精神科医)
武本和幸(柏崎原発反対同盟)
西尾 漠(原子力資料情報室共同代表)
花崎皋平(哲学者)
古川路明(放射化学)
松崎早苗(環境化学)
山口幸夫(原子力資料情報室共同代表)
 5月30日に開かれた編集委員会には、11名の委員の方がた全員が出席くださり、活発な議論が展開されました。議論のまとめは上記のとおりですが、なかでも白熱した議論となったのは、どのようにして高木さんの思索の背景と人物像を浮き彫りにするか、でした。そのために未公刊資料を各巻に収録して、同時に読者の方の関心を呼び起こしていくことになりました。第1回配本では「死をみつめながら―わが闘病記」を収録し、第2回ではドイツ時代に久仁子さんへ出した手紙を収録します。
 以上が、編集方針の概略です。小社では、第1回配本の編集作業が佳境を迎え、一同がんばっています。どうぞ、よろしくお願いいたします。

みなさまへのお願い
○未公刊の資料をお持ちでしたら、ご一報ください。貴重な資料かと存じますが、一読させていただければ幸いです。
○内容見本のパンフレットを広めて下さい。返信カードでご一報いただければ、すぐにお送りします。(な)

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新刊ひとり語り

市民科学ブックスの創刊
市民科学ブックス1『人間の顔をした科学』高木仁三郎著

 高木仁三郎さんが力を注いできた「市民科学」──現代の科学技術が抱える矛盾を衝き、地球環境や人類社会が直面する課題に取り組んでいく、本当に必要な科学を考える叢書です。
 その第1冊目として本書を刊行しましたが、本書の内容は以下の通りです。
1. 人間の顔をした科学
 NHK教育テレビ放送の人間講座「人間の顔をした科学」より(2000年3月)
2. 高木学校とその志
 高木学校特別講演「高木学校と宮沢賢治」の講演「高木学校の志し」より(1999年6月)(『想像』86号を転載)
3. プルトニウムと市民
 高木学校Bコース第1回連続講座「化学物質と生活」第1回講座「プルトニウムと市民」の講演より(1998年12月)
4. 原子力神話とJCO臨界事故
 高木学校と反原発出前のお店が合同して行った特別講義より(2000年3月)
 1.と2.は生前の高木さんから原稿を預かっていたものですが、3.と4.は本書を刊行するにあたって新たに収録しました。ご覧のように、高木仁三郎さんがライト・ライブリフッド賞を受賞後、ガンとの闘病生活の中で遺した発言を収録したものです。世界の原子力開発に警鐘を鳴らし続け、原子力資料情報室と高木学校の活動に心血を注いできた高木さんの肉声が伝わってくる内容です。

 私たちは、原子力資料情報室や高木学校の活動を支援し続けていきますが、本書が脱原発の運動や市民のための科学を志す人びとの精神的な拠り所になることを願うものです。また、市民のために必要な科学とは何かを考え、行動していくために「市民科学ブックス」が役に立てば、うれしく思います。
 高木仁三郎さんは本書で次のように語っています(「1. 人間の顔をした科学」より)。
「人びとの心の奥底にあるのは、単純な技術の選択の問題ではなく、もう少しちがう科学技術への期待があるのではないかと思われます。つまり、人びとが安心して安らかに暮らせるような科学のあり方を望んでいるということが、実際に多くの人びとと話してみても痛感するところです。これを『人間の顔をした科学』といってもよいと思います」
 この言葉をかみしめながら、「市民科学ブックス」の刊行を続けていきます。(な)

(本書は、四六判、160頁、定価1200円+税)

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エントロピーから見る環境問題
市民科学ブックス2『エントロピーと地球環境』山口幸夫著

本書は、私が大学4年の時(1998年)に受けた講義“エントロピーと地球環境”をわかりやすくまとめたものです。
 私は大学3年の時(1997年)、はじめて山口幸夫先生の講義を聴いたのですが、前期の授業の終わりの方で次のようなことを聞きました。「12月に地球温暖化の国際会議(COP3)が京都である。これに合わせて、国際市民会議『持続可能で平和なエネルギーの未来』をやるから、参加してみたらどうか」と。
 ただ何となく大学生活を過ごしていたものとしては、またとない機会でした。ただ、これまで、環境問題についてきちんと勉強したことがなかったので、何から手をつけていいのかわからない状態でした。
 そんな時、山口先生から紹介していただいた中の一つに、杉並区で行われていた区民大学の講義がありました。私は、区民大学の最終回の講義に出たのですが、その講義に参加している方がたが「エントロピーを勉強したおかげで、世の中のことがよく見えるようになった」と口々に言うのです。自信をもって語る姿を見て、私も勉強してみたいと強く思いました。

 しかし、大学の講義にエントロピーから環境問題を考えるような講義はありませんでした。 そんなわけで、私は「市民たちが勉強しているエントロピーを、昼間の大学生である僕らが学べないっておかしいんじゃないでしょうか。僕らにも講義してください」と頼んだのです。
 このような経緯があって講義が始まったので、毎回の講義は真剣勝負でした。ただ、私は文系だったので、高校までの理科や数学をきちんと学んでいません。こんな私にでも理解できるように、山口先生は講義の構成にかなり工夫を凝らしくださいました。
 その甲斐あってか、講義を全部聴き終える頃には、ものの見方がだいぶ変わったなと自分でも思えるようになりました。この講義をこのままにしておくのは、もったいない。もっと多くの人にも知ってもらいたい。そう思って、七つ森書館に入社してから、企画を進めてきました。本書が、新しい問題に向けて、視野が広がり、行動をおこしていくきっかけになればと思います。     (Y)

(本書は、四六判、168頁、定価1300円+税)

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次世代に何を伝えていくべきか
『21世紀のエコロジー社会』エコロジー社会構築研究会

 エコロジー社会構築研究会は、現在の経済システム、ライススタイルを変えなければ、社会が立ちいかなくなると懸念したエネルギーや環境問題の専門家12名が集まったグループです。
 環境問題を取り扱った書籍はたくさんありますが、エネルギー・経済・環境政策・教育を総合的にとらえたものは、意外に少ないと思います。私たちが暮らしていく中で、それぞれは密接に関わっていますから、総合的に考えるのは必然ではないでしょうか。
 本書では、まず現在に至るまでの日本を分析し、エコロジー社会に向けて、さまざまな問題提起がなされます。

 ただ、“どのような社会にしていきたいのか”というイメージは、個人の意識や倫理観によるところが大きいので、子どもの頃からの教育が重要になります。そこで、具体的な教育実践を紹介することで、次世代に何を伝えていくべきかを浮かび上がらせています。2002年度から「総合的な学習の時間」が始まるので、環境教育についての著書を「市民科学ブックス」として企画しております。お楽しみに。(Y)

(本書は、四六判、312頁、定価2500円+税)

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お求めやすい価格へ値下げ!
『原子力市民年鑑2001』原子力資料情報室

 『原子力市民年鑑』は、今年で6年目を迎えました。従前通り原子力資料情報室の年報に相当する巻頭論文と、データブックから構成されています。
 本年版の巻頭論文では、「高木仁三郎さんの言い遺したこと」(山口幸夫)「新原子力長計と2000年の原子力動向」(西尾漠)「原子力からの撤退――ドイツの選択」(澤井正子)「軽水炉でのMOX燃料使用の危険性」(上澤千尋)「JCO臨界事故総合評価会議報告の要約と提言」を掲載しています。いわば原子力資料情報室の活動の成果です。

 データブックは、「1.データで見る日本の原発―サイト別」と「2.データで見る原発をとりまく状況―テーマ別」の二部構成。本年版も、より信頼性が高く、より便利なデータブックとして、可能な限りのデータ更新と追加を行いました。今後大きな争点となる「放射性廃棄物」問題をはじめとして各テーマの内容を更新・充実させたほか、インターネットの発展に対応して巻末の「原子力Webガイド」も全面改訂しました。
 ページ数は昨年版とほぼ同じですが、価格を3,500円から2,800円へと大幅に値下げしてお求めやすくなりました。多くの方に利用していただけることを願っています。 (な)

(本書は、A4判、352頁、定価2800円+税)

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原発を大地震が襲ったら……
『シミュレーション・ノンフィクション原発震災』明石昇二郎編

 本書は、『サンデー毎日』(2001年3月4日、11日、18日、25日号)で連載した記事をジャーナルにしたものです。
「原発を大地震が襲ったら、私たちの暮らしはどうなるのか?」という、誰もが一度は考えたことがある疑問に、ルポライターの明石昇二郎さんが「シミュレーション・ノンフィクション」という新しい技法をもって挑んだ意欲作です。シミュレートしたケースは、「浜岡原発を東海大地震が襲ったら……」―浜岡原発にとどまらず、全国に立地する原発がはらむ問題であることがおわかりいただけると思います。
 本書が誕生するきっかけは、ある二人の女性が、この記事を全国に広めたい、と明石さんに電話したのに始まります。この熱意に応えた明石さんが、ご自分の記事のほかに、急遽、原稿を依頼して本書ができあがったのです。

完成後わずか数日で、数千部が全国に発送されています。 本書は、「記事を書く人」「記事を広める人」「制作し流通させる出版社」の三者が一体となってつくりあげた、新しい本づくりの方法だと考えます。従来のような取次会社へ委託して書店に並べてもらうような方法は採らずに、口コミ、手渡し、書店からの注文のみで流通させていますので、まだお読みになっていない方もおられるかと思います。是非とも小社へご注文いただきたく存じます。
 なお、「明石ジャーナル」は、編者の明石さんが毎年発行しているものに因みます。(な)

(本書は、B5判、36頁、定価400円+税)

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